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【映画】第9地区【レビュー】

2018年11月11日 - 未分類

久しぶりのブログ更新。

漫画のアップではなく、映画のレビューになります。

久々に大好きな映画に出会いました。

その名も「第9地区」。数々の映画賞を受賞したこの作品、名前だけは知っていました。

あらすじ

南アフリカの都市ヨハネスブルグの空に宇宙船が出現。

宇宙船からはエビのようなエイリアンが現われた。

彼らは地球に漂着してしまった難民だった。

やがて、ヨハネスブルグに彼らを隔離する土地、「第9地区」が作られる。

次第にその地はエイリアンとナイジェリア人ギャングの不法地帯と化していった。

グローバル企業MNUの社員ヴィカスは第9地区のエイリアンを第10地区へ立ち退かせる過程でエイリアン・クリスの所有する謎の黒い液体を浴びてしまう。

その結果ヴィカスの肉体は徐々にエイリアンに変化していき・・・。

SF愛

ホラー好きの僕だが、もちろんSFも大好きだ。とはいえ、多くを語れるほどSF作品に造詣が深いわけではない。しかしそんな僕でも、この作品には他のSF作品のオマージュが散見された。

都市の上空に浮かぶ宇宙船

この発想は元は「幼年期の終わり」ではないだろうか。SFの大家アーサーCクラークの名作である。「2001年宇宙の旅」の原作の人なので、SFオタクでなくとも知っている人も多いはず。

変身

人間が嫌悪感のある化物に変身する、というモチーフは古典的なものだが、変身の過程(爪がはがれたり)が「ザ・フライ」を髣髴とさせた。向こうはハエに変身だが、こちらはエビである。エビの方がいくらかマシか?

エイリアンに感情移入

エイリアン映画ではエイリアンは圧倒的な力を持っており、なかなか人間たちは太刀打ちできないが、この作品では難民という設定であり、人間たちに差別、虐待されている。醜悪な見た目ではあるが、ちゃんと表情もあり、子供や仲間を大事にするなど、人間味が溢れている。そういう点で、この作品は単なるエイリアン映画ではないことが分かる。

主人公ヴィカスはクズなのか?

第9地区のレビューでよく「主人公ヴィカスはクズ」というワードが見られるが、それは当然だと思う。この映画において、主人公がヒーローでは成立しないのだ。等身大の主人公だからこそ、現実の「難民問題」を考えるきっかけをこの映画は与えてくれる。ヴィカスは現実の我々であり、反面教師なのだ。

笑い

いくつか笑えるシーンもあった。エイリアンの武器で人が一気にはじけ飛ぶシーンは痛快だった。また、主人公がエイリアンに変身した原因が「エイリアンとの性交渉である」とデマが拡散されてしまうシーンも個人的にはツボだった。

政治的メッセージ

「エイリアンの難民」という極めて遠く、近しいテーマだが、それが説教臭くなく、ユーモラスに描いているのがこの映画だと思う。他のレビューでもあったが、さらっと気軽に見れてしまうのがいいところである。

現実世界ではグローバリズムに歯止めが利かず、難民問題が深刻である。移民や難民は自分たちの文化が壊されてしまうんじゃないかという恐怖感から、排斥に向かう傾向にある。しかし、まだ「地球人」だ。努力すれば融和できるはずである。それが「宇宙人」だったら?「人」ではないとしたら?

同じ「地球人」ですら融和ができないのなら、「宇宙人」では不可能だろう。しかし、時間をかけて文化を育めばきっと共生出来る。宇宙人ともできるはずだ。時間をかければ・・・だが。

その「時間」がないとしたら、人は自分たちも難民と同じ立場にならねば理解できないのだろう。もしくは「第9地区」を見るべきだ。

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